【初めての聖書】第14課 歴史の流れ

初めての聖書
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≪序≫ 

私たちはだれでも将来に対して、ある程度の見通しを立てて生活したいと思っています。しかし聖書にはあなたがたは、あすのこともわからぬ身なのだ」(ヤコブの手紙4章14節)とあり、私たちは明日のことも、いや一瞬先のことでさえどうなるのかを知ることはできないのです。ところが神は「わたしは終りの事を初めから告げ、まだなされない事を昔から告げて言う」(イザヤ書46章10節)と言われます。これを神の予知といい、神は先のことを時間の壁を越えてお知りになることができるのです。

神は人間に将来起こるべきことを、前もってお知らせになりました。これを預言といいます。

世の中が不安定になると人々は、先のことを心配して易者(えきしゃ)に聞いたり、星占いに走ったりします。方位を気にしたり、心霊術のお告げなどに耳をかたむける人も多くなっています。聖書の預言はこのような予言とはちがった性質のものです。この課では聖書の預言の意味と、その目的について学び、世界の将来を示している預言を研究したいと思います。

1. 預言の与えられた目的

アモス書3章7節に「まことに主なる神はそのしもベである預言者にその隠れた事を示さないでは、何事をもなされない」とあります。神は人間の運命にかかわる大事な事柄は必ず前もって示して下さいます。その理由をあげてみます。

① 預言を研究すると、神が世界の歴史の始まりと、進行と、最後を、あらかじめ知っておられ、この世界を支配しておられる全能の方であることに対する確信を持つことが出来るようになります。

② 預言は来るべき出来事を予告しているので、それに対してなすべき準備が分かります。マタイによる福音書24章15節から20節までにキリストはエルサレムの滅亡について預言されました。

「預言者ダニエルによって言われた荒らす憎むべき者が、聖なる場所に立つのを見たならば(読者よ、悟れ)、そのとき、ユダヤにいる人々は山へ逃げよ。屋上にいる者は、家からものを取り出そうとして下におりるな。畑にいる者は、上着を取りにあとへもどるな。その日には、身重の女と乳飲み子をもつ女とは、不幸である。あなたがたの逃げるのが、冬または安息日にならないように祈れ」。

紀元70年にローマの軍隊がエルサレムを攻めた時、この指示に従って逃げた人々は、その悲惨な滅亡からのがれることができました。

③ 預言は過去から未来に至る歴史の流れを示しますから、預言を学ぶことにより正しい世界観をもち、私たちの存在の立場や意義を理解することができます。

④ 世界歴史を通してどのように神様の意志と計画が成就したか、そして未来に何をしようとしておられるのか、それを私たちが知って信じるために、預言を研究するのです。キリストは「そのことがまだ起らない今のうちに、あなたがたに言っておく。いよいよ事が起ったとき、わたしがそれであることを、あなたがたが信じるためである」(ヨハネによる福音書13章19節)と言われました。聖書には多くの預言があります。次に世界の将来を示す預言の一つを学んでいきたいと思います。

2. ネブカデネザル王の夢

人類の歴史の記録をたどると世界の諸国民の発展や、民族の興亡は、人間の意志や計画によって左右されているように見えます。しかし聖書は、人間の利害や欲望、権力などを越えて、歴史の背後に神の手が働いていることを示しています。

今から2600年近く前、当時の世界的な大帝国バビロン(新バビロニヤ)の王ネブカデネザルは、ある晩夢を見て深い印象を受けました。ところが朝になってその夢の内容を忘れてしまいました。そこで宮廷に仕えていた学者や占い師たちを召し集めて、その夢の解き明かしをするように命じました。しかし夢自体が分からずに解き明かしをせよというのは無理な命令で、だれも答えることはできなかったのです。王は怒って全国の学者や占い師たちを全部殺すように命じました。

その当時、王国の学識経験者のうちに、ユダヤの国を攻略した時、王が捕虜として連れてきていた信仰の厚い、優秀な四人の青年たちがいました。その一人ダニエルは、この王の命令を聞いて、しばらくの時が与えられるように王に願い、三人の友だちと熱心に神に祈りました(ダニエル書2章17節―19節)。何か人生のむずかしい問題にぶつかった時は、熱心に神に祈ることです。神は彼らの祈りに答え、王の夢とその意味を教えて下さいました。ダニエルは直ちにそのことを王に告げました。

「王よ、あなたは一つの大いなる像が、あなたの前に立っているのを見られました。その像は大きく、非常に光り輝いて、恐ろしい外観をもっていました。その像の頭は純金、胸と両腕とは銀、腹と、ももとは青銅、すねは鉄、足の一部は鉄、一部は粘土です。あなたが見ておられたとき、一つの石が人手によらずに切り出されて、その像の鉄と粘土との足を撃ち、これを砕きました。こうして鉄と、粘土と、青銅と、銀と、金とはみな共に砕けて、夏の打ち場のもみがらのようになり、風に吹き払われて、あとかたもなくなりました。ところがその像を撃った石は、大きな山となって全地に満ちました」

(ダニエル書2章31節―35節)。

続いてダニエルがこの夢の解き明かしを述べると、王は非常に満足し、

「あなたがこの秘密をあらわすことができたのを見ると、まことに、あなたがたの神は神々の神、王たちの主であって、秘密をあらわされるかただ」(ダニエル書2章47節)

と言い全能の神の前にひれ伏したのです。

3. 夢の解き明かし

この夢の中の像は、パビロンの時代から人類歴史の終末に至るまでの、歴史の流れを示していました。

① 金の頭―バビ口ン(新バビ口ニヤ帝国)紀元前605―539年

まず金の頭についてダニエルは、「王よ、あなたは諸王の王であって、天の神はあなたに国と力と勢いと栄えとを賜い、…あなたはあの金の頭です」ダニエル書2章37節、38節)と言いました。首都バビロンは古代に最も栄えた都で、城壁は高く難攻不落と考えられ、オリエント世界の政治・文化の一大中心地でした。しかし預言によればバビロンがいつまでも世界に君臨するのではなかったのです。その詳細な預言は、イザヤ書44章の27節、28節と同書45章の1節―3節にしるされています。

「また淵については、『かわけ、わたしはあなたのもろもろの川を干す』と言い、またクロスについては、『彼はわが牧者、わが目的をことごとくなし遂げる』…」「わたしはわが受(じゅ)膏者(こうしゃ)クロスの右の手をとって、もろもろの国をその前に従わせ、もろもろの王の腰を解き、とびらをその前に聞かせて、門を閉じさせない。…わたしはあなたの前に行って、もろもろの山を平らにし、青銅のとびらをこわし、鉄の貫(かん)の木を断ち切り、…イスラエルの神であることをあなたに知らせよう」。

この預言はバビロンを攻め落とした名将軍クロスが生まれる約150年も前になされたものです。当人がまだ生まれないうちから、名前をあげ、また彼がどんな戦略を用いて攻め落とすかまで予告してありました。歴史によれば、彼はバビロン城を貫流(かんりゅう)するユフラテ川の水を、人工的に造った湖水(こすい)に導き、乾いた川底に兵を入れて城壁をくぐらせたとのことです。これは夜中を利用して実施された作戦ですが、当夜はバビロンのお祭りであったため、全市は飲めや歌えの大さわぎを演じていました。そのため川岸にあった青銅の門の固めも十分でなく、クロスの部下はたやすく侵入してしまいました。こうしてバビロン帝国は一夜のうちに滅び去ったのです。

② 銀の胸と両腕―メド・ぺルシャ(メディヤとぺルシャの連合国)紀元前539―331年

「あなたの後にあなたに劣る一つの国が起ります」(ダニエル書2章39節)。バビロンを滅ぼしたのは、クロス王にひきいられたメディヤとペルシャの連合国でした。この国はオリエント世界を統一して空前の大帝国をつくりましたが、バビロンのようには繁栄せず、銀であらわされるにふさわしい国でした。

③ 青銅の腹ともも―ギリシャ(マケドニヤ帝国)紀元前331―168年

「また第三に青銅の国が起って、全世界を治めるようになります」(ダニエル書2章39節)。

この第三の国はアレキサンダーを王とするギリシャでした。紀元前331年のアルベラの戦いでペルシャ軍を壊滅させました。

④ 鉄のすね―ローマ帝国 紀元前168―紀元476年

「第四の国は鉄のように強いでしょう。鉄はよくすべての物をこわし砕くからです。鉄がこれらをことごとく打ち砕くように、その国はこわし砕くでしょう」

(ダニエル書2章40節)。

ギリシャの次に世界を支配したのは鉄のように強い国ローマでした。イギリスの歴史家ギボンもローマを「鉄の国」と言ったのは興味深いことです。

⑤ 鉄と粘土の足―分裂した国々

「あなたはその足と足の指を見られましたが、その一部は陶器師の粘土、一部は鉄であったので、それは分裂した国をさします。しかしあなたが鉄と粘土との混じったのを見られたように、その国には鉄の強さがあるでしょう。その足の指の一部は鉄、一部は粘土であったように、その国は一部は強く、一部はもろいでしょう。あなたが鉄と粘土との混じったのを見られたように、それらは婚姻によって、互に混ざるでしょう。しかし鉄と粘土とは相混じらないように、かれとこれと相合(あいがつ)することはありません」

(ダニエル書2章41節―43節)。

ローマ帝国のあとにくるのは分裂した国々です。西洋史をみるとローマは紀元4世紀から5世紀のあいだに、帝国領土内に、独自の権力を持ったゲルマン人の王国がいくつか成立し、ローマは分裂しました。それらの王国はやがて今日のヨーロッパ諸国になってきたのですが、これらの国は鉄と粘土のように強い国もあれば弱い国もあり、現在に至るまで分裂した状態です。「鉄と粘土とは相混じらないように、かれとこれと相合(あいがつ)することはありません」とダニエルは言いました。その後いく度か統一がくわだてられましたが失敗に終わっています。カール大帝、カール五世、ナポレオン、カイゼルそしてヒトラーなどはこのような試みをして失敗した人々です。人間の力で神の言葉を変えることはできないのです。

またヨーロッパの再統一が各王室間の婚姻政策によって試みられましたがこれも成功しませんでした。婚姻によって混じろうとしても、「かれとこれと相合(あいがつ)することはありません」と聖書は断言しているのです。

⑥ 第五の王国―永遠に至る神の国

「それらの王たちの世に、天の神は一つの国を立てられます。これはいつまでも滅びることがなく、その主権は他の民にわたされず、かえってこれらのもろもろの国を打ち破って滅ぼすでしょう。そしてこの国は立って永遠に至るのです」(ダニエル書2章44節)。

私たちは今分裂した国々の時代に生存しています。このあとにくるものは何か、問題の多いこの世界はどうなっていくのかということをこの預言は教えているのです。次にくるものは、神自らおたてになる国で、前に学んだように、神が支配なさる栄光の国です。神は罪悪に満ちたすべての国を滅ぼし、永遠に続く神の国をおたてになるのです。これが本当の意味の理想社会の出現です。

どんなに栄えていても、どんなに強大であっても、神を離れ、神に敵対しているものはついには滅ぼされてしまうのです。

これは歴史の終末におこる大事件です。ダニエルは、「秘密をあらわすひとりの神が天におられます」(ダニエル書2章28節)と言い「その夢はまことであって、この解き明かしは確かです」(ダニエル書2章45節)と結びました。

確かにこの預言の大部分は成就しました。詳しいことは西洋史の本をごらんになればわかります。今や世界は神の国の出現の瀬戸際にきているのです。

希望の言葉

今日、世の人々は、最後の重大な危機を前にして、ノアの洪水前の人々と同じように、享楽に心を奪われ、肉欲にふけっている。彼らは目の前のはかないものに夢中になって、目に見えない永遠のものを見おとしている。使えばなくなるような物のために、彼らは、滅びることのない富を犠牲にしている。彼らの思いは高められ、彼らの人生観は広くされなければならない。世俗の夢をむさぼっている彼らは、その惰眠から目ざめなければならない。

聖書のページに明らかにされている諸国民の興亡を通して、われわれは、単なる外面的で世俗的な栄光がどんなにむなしいものであるかを学ばなければならない。後世にその例を見ないほどの権力と栄華を誇ったバビロン―当時の人々には、堅固で永遠に続くように思われていた権力と栄華をもったバビロンは、跡かたもなく消え失せた。それは、「草花のように」滅びてしまった。根本に神を持っていないものはすべて滅びる。神の御目的と結合し、神のご品性を表わすものだけが永続することができる。神の原則だけが、世に知られるかぎりの唯一の不変なものである。

 老いも若きも、これらのとうとい真理を学ぶべきである。われわれは、諸国の歴史と未来の事に関する啓示の中に、神の御目的の働きを学ばなければならない。そのときわれわれは、目に見えるものと目に見えないものとの真の価値を評価することができ、人生の真の目的が何であるかを知ることができる。そしてまたこの世の事物を永遠の光に照らしてみて、それらを最も真実に最も高潔に用いることができる。このように、この世において神の国の原則を学び、その臣民また市民となることによって、キリストがおいでになるときに共にみ国にはいる準備ができるのである。

                     (教育より)

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